本格的に夏休みに入り、嬉しいことがありました。
長男がコナン原作を読み始めました。
前からリビングの本棚に入れてあった104巻、105巻を何となく読み始めたのですが、「もっと読みたい」と言われて1~3巻を渡してみたら、あっという間に読み終わり、原作5巻くらいまで進んでおります。

恐らく、4年生にもなると読める漢字や理解できる言い回しが増えてきて、「漫画を読む」ということが苦でなくなってきたんじゃないかと思います。元々、私に付き合わされて毎週のアニメや過去作映画も見せられて、キャラや設定についてはわかってますし。
とはいえ、この子、「読字障害」の診断受けてるんだけどな。本人の興味関心が障害を上回った、ってことでしょうかね。
本人は「夏休み中に全部読む!」と意気込んでいますが……私としては、いつこの興味が切れて、忘れ去ってしまってもガッカリしなくて済むよう覚悟したいと思ってます。
今回の本題
ということで、タイトルにもした「シカゴから来た男」についてです。
セリフの確認に当たり、改めてAmazon Primeでアニメ放送を確認してみたら、冒頭のアニマルショーのシーンが思ってたより長くてビビった。
まずはジェイムズ登場前から
アニマルショーの感想を言い合う探偵団の中で、歩美と灰原がストラップを買った話にて。
コナンの「へー、オメーもそういうのに興味あんだ?」が「Oh,I didn’t realize you were interested in that kind of stuff.(へー、お前がそういうのに興味があったとは知らなかったぜ)」になったのは、だいぶ穏やかな訳になったように見えるけど、ニュアンス次第では元セリフのように、多分かなり皮肉気味の「お前にそんな可愛らしい、理解しやすい趣味があるのかよ」という意味になったのか、どっちなんだろうか。
そして、それに対する灰原の返しが「Well,I think it’s much better than other people’s interests. For example,I know this one boy whose only hobby is sitting around and reading stupid mystery novels all day.(まあ、他の趣味に比べたらかなり良いでしょ。例えば、私が知ってるある少年は、一日中座り込んでくだらないミステリーを読むことしか趣味がないみたいだし)」になってた。
これ、元セリフが「あら、毎日飽きもせず、血なまぐさいミステリーばかり読み漁ってる誰かさんの趣味よりは、よっぽどましだと思うけど?」なので、多少語彙を膨らませてること以外は、特に問題ないかなと思うんですが……ちょっと気になったのが「one boy」なんですよね。これ、もしかして翻訳担当者が「誰かさん」を抽象表現として解釈したのかな?
この「誰かさん」って「あなた」のひねくれた言い換えみたいなものなので、むしろ「you」と直訳表現にしても良かったかもしれません。まあ、私が英語表現のニュアンスをちゃんと読み取れていないだけだと思っておこうかな。
いよいよ登場
ジェイムズが記者たちに囲まれていた場面。
ジェイムズのセリフが、英語翻訳以前に、アニメ化でだいぶ変えられていることが気になる。原作32巻のこちらです。

しかし、ご存じの方も多いと思いますが、アニメで放送されたセリフは違っていて、この吹き替えでも「I can’t possibly enter everyone of your questions at the same time,you know?(一度に全員の質問に答えるなんて無理だ)」になっていました。
ここはコナンがジェイムズの「can」の発音に目を付ける場面なので、文章に「can」または「can’t」が入ってさえいれば、何を言わせてもいいとは思うんですが……なぜ、わざわざアニメでセリフを変えたのか、謎です。ジェイムズはホークさんじゃないので、質問が1つだろうが複数だろうが、答えられないことに変わりはないはずなのにな。
そして、気になったのが灰原の皮肉です。
「まったく、いい気なものね。こっちはボディガードもつけられず、ビクついて隠れ住んでるっていうのに。自業自得だわ」が「Must be really nice.I don’t have the option of a private bodyguard,so I’m stuck having to live on and hiding.It’s my own fault.(本当にいいわね。私はプライベートで護衛をつけるなんて選択肢は取れないから、隠れ住むしかないわ。自業自得だけどね)」
「Must be really nice.」は、解釈がめちゃくちゃ難しそうです。直訳すると「とても素敵に違いない」という単純な肯定文だけど、英語話者なら皮肉として受け取れるんだろうな、多分。
問題は「It’s my own fault.」です。これ、英語だと「護衛をつけられず、隠れ住まざるを得なくなったのは、組織から逃げた自業自得」というセリフになってないか?
違うよー。このセリフは「私がつけたくてもつけられない護衛を、好きでつけなかった結果、記者たちに囲まれて動けなくなったのはホーク(と思っている男性)の自業自得」って意味だよー。
これ、気になって日本語音声用の英語字幕も確認したんですが、「I guess my own fault.」になってたので、もしこのとおりのセリフだとしたら、吹き替え、字幕とも解釈が間違ってますね。
聞き分けポイント
で、コナンの「クイーンズイングリッシュ講座」です。
「can’tのことカントって発音してたよね?」が「when you said the words I can’t,you said a can’t with a long ah.(canのaの発音が長かったよ)」になってました。判別方法が変わってる……。私にはアメリカ英語とイギリス英語を聞き分ける耳はありませんので、書けるのはここまでになりますが。
そして、「日本の記者が間違えるのも無理ないよ。外国人が日本人の顔を見分けにくいように、日本人も外国人を髪や肌の色が似てるだけで間違えたりするから」は、結構大胆に変えられております。
こちらは、またアメリカのファンの方から頂いたメールの文面をそのままお借りします(訳の方はGoogle翻訳を元にしました、すみません)。「Of course, I can’t really blame the journalists for that mistake. (もちろん、このミスについて記者たちを責めることはできない。) The two of them do have very similar builds and features. (2人は体格も顔立ちもとてもよく似ている。)One would have to look closely to see the difference.(違いを見分けるには、よく見てみないといけない) And it would be especially difficult if it’s someone you’re not familiar with.(それに、親しくもない相手なら、さらに見分けは難しくなるしね)
(文頭の「もちろん」がよくわかりませんが)これは、なかなかうまくフォローしましたね。「人種が違えば、人の見分けも難しくなりがち」という文脈を変え、「ランディ・ホーク氏とジェイムズの容姿が特に似ていたから間違えてしまった」という話にしています。どういった理由による変更なのか、何かしらの配慮なのかは推測するしかありませんが、私としては、これはこれで十分アリだと思いますね。
一番すごかったポイント
上で「解釈違い?」というポイントを書きましたが、こちらは「翻訳者さんGJ!すげぇ!」と思ったところです。
エピローグになりますが、赤井がジェイムズを車に乗せ、誘拐犯たちを看破した方法を聞いたシーン。こちらは、原文も訳も、頂いたメールからそのままお借りします。
James: Quite simple. When they first approached me they asked my name as if they didn’t recognize me. (実に単純なことだ。彼らが最初に私に声をかけてきた時、まるで私のことを知らないかのように、私の名前を尋ねてきた。)
James: But then they asked for the name of my hotel, which would suggest that they already knew that I didn’t live in the area. Real detectives would have no reason to do that. That’s why I knew. (それから彼らは私の泊まっているホテルの名前を尋ねてきたが、それは彼らが私がこの地域に住んでいないことをすでに知っていたことを示唆している。本物の刑事なら、そんなことをする理由などない。だからこそ、私は気づいていたのだ。)
原作をよくよく読み返してみたら、

肝心のセリフがかなりブレてしまいましたが、言ってる!「宿泊先のホテルも」って!
そりゃ、全部英語セリフである吹き替えにおいて「ナチュラルに日本語で話しかけてきた」を不審に思う理由にはできませんよね。かといって、誘拐時の会話を変更してしまっては、会話やストーリーが不自然になってしまう。これ、翻訳担当の方はかなり悩んだんじゃないでしょうか。そして、元々あったセリフから別の論点を作り出したんですね。いやー、これはお見事でした。
最後に
あと、前から思ってたんですが、「事情聴取」って英語だと「police question」または「question」なんですよね。この話においては「事情聴取を受ける」が「being questioned」でした。なかなか幅広いな「question」。
そして、「検問」は「checkpoint」でした。一気に印象が軽くなった。
こんな感じで、「コナン」で慣れ親しんでいる表現が、英語だと「こんな言葉になってるんだ?」っていうのが結構あるので、近いうちに自分なりにまとめてみたいなーと思ってます。
最後に、その2
ただ、昨年末に通信講座を始めてから、こういった翻訳セリフについての感想記事にかけられる時間が、かなり減っています。元々語学には興味があるので、調べるのも書くのも好きだし「確か、あのエピソード(or映画)にも同じ表現が……」とか「ほうほう、こういう使い方もするのか」とか考えるのも楽しいのですが、いかんせん、暇ができない。
実は8月に、新しい吹き替えアニメエピソードが配信されるようなんですが……今の状況だと、じっくり見てる時間がないんですね。なので、今後のCrunchyroll配信分にどう対応するかは、ちょっと考え中です。


コメント