テープ起こしの面倒:意外に不便なWordの機能

前の会社では使ってなかったので気付きませんでしたが、テープ起こし会社の納品は基本的にWordなんですね。(前の会社では専用システムの中に専用エディターがついてたのでWordは必要なかった)
あと、今やってる整文具合も前の会社ではいらなかったので、未だに戸惑っております(前の会社では整文はやって当たり前だったので、案件によって整文具合が変わる今の会社のルールは面倒くさい…)。
で、Wordの整文機能とか検索機能とか置換機能とかはもう、使わないと納期に間に合わないのでガンガン使ってますが、「え、ここは判別してくれないの?」と思う不十分機能が。
 
Wordって、句読点や記号、全・半角、大文字・小文字、ひらがな・カタカナは認識してくれないのね。
テープ起こしにおいて、句読点はともかく、全・半角、大文字・小文字はかなり重要です。マニュアルで「ここは全角で、ここは半角で」とか細かく決まってるとかざらだと思います。前の会社でも「ここは半角に直して」とかの修正指示はしょっちゅうありました。「標準用字用例辞典」で表記する速記表記においては、数字は「1桁なら全角、2桁以上なら半角」とされています(ちなみに位取りカンマ「,」は必須)。この辺りを一緒くたにされると、校正とかがかなり面倒になるんですよね。
 
例えば話者(発言者)が分からないのでとりあえず「A」とした場合、私は途中で名前が分かっても、とりあえず一通り起こす段階では「A」で通します。Aさん1人が延々しゃべってる講演会とかならいいんですが、インタビュー案件とかだと、いちいち名前で入力する手間が惜しいんです。「A」で統一しておいて、後で名前に一括置換するほうが早いので。
で、発言中にaが含まれる単語とか出てきたりすると、これが悲劇になります。例えば「communication」と入れていた場合、「A」さんの名前を「佐藤」さん(例)とかに置換すると、「communic佐藤tion」と変換されてしまうんです。
 
ちょうどこれと同じことが最近あり、「服部」さん(例)を分かりやすく略すために発言者名を「ハ」で統一し、後で「ハ」を「服部」に一括置換したら、会話中の「は」まで全部「服部」になってしまい、「そういう部分服部ちょっとね、と服部思います」(例)みたいな悲劇になりました。
あと、「付き」と「つき」の使い分けをチェックするために「つき」で検索してみたら「思いつつ。きっと」とか「さっき」も全て引っかかってきてしまい、チェックが七面倒くさくなったり。
こういう「テープ起こしにおいて必ず気にしなければいけないこと」が配慮されていない一方で、表とか画像、グラフとかの全然使わない機能は充実しているWordは、やっぱり「テープ起こし用のソフトではないな」と実感します。
 
前の会社のシステムで起こしてたときは、チェックをかけると半角文字・数字だけ色分けしてくれたり「この漢字はうちの表記では使えませんよ」とか「ここは読点要りますよ」とかいろいろと抽出したりしてくれて、めちゃくちゃ便利でした。ぶっちゃけ、映像配信システムを議会事務局に売るより、全国のテープ起こし業者にエディターとチェックシステムを売るほうが業界的にはためになるんじゃないかと思ったり。ただ、それをお金かけて導入してカスタマイズするだけの投資を当のテープ起こし業者がするかどうかという問題がありますけどね。「格安」で売ってる業者はまず買わないだろうな……。


というか、正直ここまで「専用ツール」が少ない業界もないんじゃないかと思いますね。
再生ソフトだけはいくつかあるけど(さすがにこれは開発せざるをえなかったか)、イヤホンやヘッドホン、フットペダル、そして上に書いたエディター、全て「元々あったものをテープ起こしに使ってるだけ」の状態ですよ。どんだけ軽んじられてるんだこの業界。多分、昔から「主婦の内職」の要素が強く、「大して稼げなくても当人も困らないし、システム開発にお金をかけたい人がいなかった」んでしょう。
 
そりゃお仕事紹介サイトで「誰でもできる」とか軽々しく書かれるわけですよ。たまに「1時間の音源をベテランは3~4時間で起こす」とか適当すぎることを堂々と書いてるブログもありますからね。単価も1時間音源で「3000円」とか「1万円」とか適当に書かれてますし(個人的には5000円としたい)。
ただ、これは業界があまりに閉鎖的で外からでは実態が全然分からないから、みんな想像で書いちゃうっていうこともあるんでしょう。現在、一応業界にいる私ですら、ホームページで料金を公開してない会社では作業単価がいくらなのか全く見当もつきません。
 
今、ベテランの方々や大手業者が資格試験(文字起こし技能テスト)を立ち上げたり講師をやったりされていますが、個人的には、ベテランの方々には「テクニック伝授」とか「楽しさを伝える」とかよりも「時短システムをもっと作ってほしい」と切に思います。私のような新人(これでも実務経験1年あるんだけどなぁ)や初心者が、まずは時給100円状態にならない努力をしていただけないものか。「もう既に業界にいる後輩たちの苦労を軽くする努力」をお願いしたいと思います。
「Wordの基本的なエディター機能が、句読点、大文字・小文字、ひらがな・カタカナを認識してくれる」だけでもめちゃくちゃ助かるんですけどね。


恐らくは今週もう1件振られて今年の仕事は終わりだと思いますが、そうなったら今度は家の大掃除だの、保育園の保護者会の仕事だの、たまってる子どもの写真の整理だのいろいろやらなきゃいけないので、結局あまり更新できない状態になりそうですが、皆様、どうぞご自愛ください。

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