私は今度の映画、全体的のストーリーとしては、ここ数年で1番の出来だと思って楽しんでいますが、さすがにいくつか物足りないこととか、モヤモヤすることがあります。
その中でも「これはないだろう!」と思うことを今日は書こうと思います。
※部分的にですが、映画のネタバレ全開です。ご注意ください。ついでに、刑事だらけの話になるので刑事たちみんな呼び捨てでいきます。
映画で前提となる「揺れる警視庁 1200万人の人質」、これは先日までアニメで再編集放送されていたし、映画でクローズアップされる「警察学校組」が関わる事件として有名な話ですし、私としてもかなり気に入ってる話です。
巻を跨ぐ話だったので、コミックス発売当時は暗号全体の解き方も「EVIT」もまったくわからず犯人の顔も出てこず(アニメでは早々に顔が出てましたが、原作で顔が出たのは解決編だけです)、模試の監督をしながらイヤホンでニュースを聞いていた蘭の高校の担任が犯人か?とか見当違いなことを考えたりしていました。
その後の佐藤の、松田を「忘れたい」に対する高木の「忘れちゃダメ」は本当に名シーンだと思います。そこまでは前提。
私が残念なのは、長い時を経て新キャラを迎え、「揺れる警視庁」というエピソード自体への扱いがガラッと変わってしまったことです。
私が昔買った、「コナンドリル」という特集本があります。

これはかなり昔に発売された特集本で、コミックスの40巻前後時点でのデータをいろいろまとめている本なんですが、この中で「揺れる警視庁」の事件についてはこういったまとめでした。

「見どころ……自身の犠牲もいとわず、1200万人の都民を助けた高木刑事とコナンのかっこよさ。これに尽きる」
当時、このエピソードに対しての認識はこうだったと思います。
今、「揺れる警視庁」ってどんな事件?と問われたら、多くの人が「松田と萩原が死んだ事件」と答えるのではないでしょうか。
まあ、それはいいです。異彩を放つイケメン集団が出てきて、しかもその中の2人が無念の死を遂げるんだから、そりゃー印象に残ります。
問題は、作中ですら認識が変わっていることです。
このエピソードの中に、こんなコマがあります。

まだ高木がコナンと共に事態に巻き込まれる前、白鳥がブラックジョーク的に「我々も殉職すれば少しは対抗できる」と高木をからかっています。
このセリフが、今回の映画によってジョークじゃなくなりました。
映画の中で、松田が関わったと思われる事件の捜査が公安によってストップされ、怒り狂う佐藤を見て高木がしゅんとするというシーンがあります。そこで白鳥がかけた言葉がひどかった。
「命と引き換えに都民を救った伝説の刑事に嫉妬するとは、君も偉くなったね」的なことを言うのです。
「都民を守るため命をかけた」という点において、松田と高木は同等ではないのか。死んだほうが偉いのか。
松田と同様の爆弾によって死に直面し、辛くも生還した高木がこんなふうに言われるって。「これは、本当に殉職しないと対抗できないってこと?」と思ったのは私だけか。
他の言葉は良かっただけに、「なぜそんなことを言う!?」と思いました。
爆弾解体時、コナンは「蘭がいる帝丹高校だけはやめてくれ」と願っていたと同時に「高木を死なせるものか」との思いからヒントを解いた先のことも見据え、「ヒントが解けたらまず爆弾を止める」ためにペンチをスタンバイしていたので爆死を免れました。
ここで「携帯を持った松田より、ペンチを持ったコナンのほうが優秀だった」と言ってしまっても私としてはいいんですが、ここは多分「一人きりだった松田と、道連れがいたコナンの意識の差」と言うべきなんだろうと思います。爆発すれば確実に自分と共に死ぬ位置に知り合いがいたら、そりゃ「この人まで死なせるわけには!」という思考になりますよ。なので、高木の存在がコナンを奮い立たせ、「ヒントを解いた先」まで考えさせた結果、2人とも生還できたと言えるのではないかと思います。
さらに言うなら、風見が佐藤たちに対して犯人を「君たちが捕まえた」と言ってましたが、爆弾を止め、犯人が仕掛けた盗聴器を逆手に取って逮捕までの道筋をつけたのはコナンです。なのに、誰もコナンに「あの時は助かった」的なことも言わず、コナンも「あの事件の……」的な感慨もない。コナンは「最大の功労者」であったはずが、「事件の関係者」ですらなくなっている。これはどうかと思いました。
ちなみに、コミックス最新101巻では、ここはきちんと意識されています。
萩原の姉である千速が登場し、コナンを「弟の無念を晴らしてくれた恩人、力になれるなら命も懸けられる」と評し、実際に懲戒免職まで覚悟した無茶苦茶な加勢をしてくれています。
映画では、松田の同期としての安室(というか降谷)が登場して普通にコナンに昔話をしていますが、私はせめて一言、コナンに(あの爆弾から生き残ってくれて、友の敵を討つ道筋をつけてくれて)ありがとう、と言ってほしかった。
松田というキャラについては、私は「口と態度が悪い天才って、一緒にいたら最悪だろうな」という理由で苦手なんですが(笑)、今回の映画によって少し身近に感じることができました。
また、映画内での過去の事件についてもよく練られていて、4人が4人そろっていたからこそプラーミャを撃退でき、いざというところで生前の萩原に救われる、という構成は素晴らしかったです。「安室さんって、本当にゼロって呼ばれてたのね」としみじみすると同時に彼らの「ゼロ」「ヒロ」呼びに萌えました。
余談ですが、爆弾解体中、高木のたどたどしい説明をガン無視してどんどん作業を進めるコナンは、あれ笑う所ですよね(笑)。どこかのサイトで「考え事しながら爆弾解体するな」とツッコまれてて吹き出しました。


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