3つの英語表現から読むロンドン編・その2

引き続き、日・英比較をやっていこうと思います。
 
まずは、このシーンです。

「Saturn……土星だよ」が「You know,the planet……called dosei in japan!(そう、あの星……日本ではドセイと呼ばれている)」。
「日本語でsaturnはドセイ」だなんて知識、英語圏の人には絶対要らない(笑)。その後の小五郎のセリフ「that's not what they call dosei over here」が、ここをどうフォローしているかよくわからなかったのでGoogle翻訳にかけてみたら、そのまんま「ここではドセイはそうは呼ばれない」でした。「日本人同士が日本語でしている会話を英語で読ませる」って、扱い難しいんだろうなー。
 
あと地味に、ジュノがアポロを呼ぶ時の「That sounds like Apollo!」がちょっと意外ですね。主語が日本語版の「It」から「That」に変更されているのは、まあニュアンスの問題として、「like」要るんだ?そのまま読むと英語版は「アポロみたいな声」になりそうですが。
この辺り、アニメ版はほぼ日本語版そのままのセリフでした。
 
だいぶ飛んで、次です。

ここは日本語版が面白くて、「つなげるとHELP、「助けて」だ」と英語を完成させてから日本語を提示しています。少年誌掲載なので、「HELP」すら読めない子どもでもわかるように、という配慮でしょう。あと、その後の「自分のサービスゲームが終わるまで、何度も何度も打ち続けて」が「She's been using her serves(自分のサーブを使い続けている)」となっているのは、「何度も何度も」はニュアンスとしてここに含まれるということでしょうかね(懐かしき現在進行形)。
あと、「オレは味方だ」が「I'm here for her」と訳されております。
 
次、「Come on」の訳が面白い。
「頑張れ~!」「ガンバ~!」「しっかり~!」と、バリエーションに富んだ訳がついています。英語では「Come on」以外に表現のしようがなかったんですかね?ここは正直、「自分も作者さんも日本人で良かった」と思いましたね。
あと、地味にミネルバの「That's you were the real man(あなたがもし実在の男性だったら)」が「If only you were real(もしあなたが実在の人物でさえあったなら)」になってるのは、ちょっと翻訳担当者グッジョブな気がする。ミネルバがいかにホームズを尊敬し、最悪の状況の中で精神的に求めているかを、言葉でより表している気がします。
アニメ版では、「Come on」は全て「頑張れ!」と表示されてますね。
 
そして、次のページです。

「ホームズの弟子」が日本語版「Holmes' apprentice」から「Holmes's apprentice」と、微妙に修正されているのはともかくとして(これ、日本語版のはsがやたらと続かないよう省略したんだと思うんですが、翻訳版は遠慮なく続けてますね)。
私が注目したのは、ミネルバのモノローグです。
日本語版の英語モノローグが「"Help you!"means…」となっているのは、ミネルバ自身が訴えてきた「HELP」をコナンが「I'll help you!」と使うことで「点字わかったよ!」と暗にアピールしている事を受けてのものです。
それに対し英語版は、その流れをサクッと略して「Are you telling me(あなたが言ってるのは)…」と、「さっきHELPについては説明してるから、略しても大丈夫だよね」という、翻訳担当者から英語圏読者への信頼感を感じました。
 
この後の「Thank you…(静かに)」も、なかなかの意訳ですね。
 
続いて、このシーンです。

左ページのサブタイトルが「女王の真価」→「The strength of a queen(女王の強さ)」と微妙に意訳されているのが興味深い。ちなみに、Google翻訳に「真価」と入れてみたら「real value」と出ました(笑)。
この「チャンピオンシップポイントを取られても」の部分、日本語版では「If she has a Chanpionship point」なのが英語版では「Even if she has a Chanpionship point」と惜しいことになってるんですが、アニメ版ではさらに「Even through she has a Chanpionship point」という、また微妙に違うことになっておりました。英語版は「even」をつけることで「たとえそうなっても」と強調してるのはわかりますが、「even if」と「even through」にそんな違いがあるのかしら……?と思って調べてみたら、ありがたいページを発見!
even if と even though の違い解説!「~だとしても」 の英語表現
こちらの解説によれば、「even if」は実際には起こらないor起こっていないことを前提とした表現で、「even through」は実際に起こったor起こる可能性が高いことに対する表現、とのことです。
……とすると、この「チャンピオンシップポイントを取られても」は「相手にチャンピオンシップポイントを取らせることを前提とした作戦」への協力をこっそり頼んでいるものなので、日本語版はともかく、まさかの「ネイティブ英語話者に向けた英語版原作」よりも、「日本の視聴者に向けたアニメ版」が一番表現として正しかった、ということになるのでしょうか。(なんという無意味な正確さだ……)
 
そして最後に、英語の比較ではありませんが、ロンドン編に外せない、こちらです。

「It's not easy to read the mind」で「心を読むのは簡単ではない」はわかるんですが……なぜその読む対象が「the girl you love」になるのかがよくわからない、英語不自由な私です(汗)。ちなみに、この文章そのままGoogle翻訳に突っ込んだところ、
「愛する女の子の心を読むのは簡単ではない」という、まんまな直訳が出てきました。え、これ「I love」じゃないの?
試しに「the girl you love」で翻訳かけてみたら「あなたが愛する女の子」になりました。そりゃそうか。
せっかくの名シーンのセリフなのに、イマイチ理解しきれないのが歯がゆいですが……その後の「Don't make me laugh!」が「笑わせるな!」の訳まんまで面白かったから、とりあえず溜飲を下げておきます。
やはり、この告白セリフは「推理モノ」らしく、一筋縄ではいかないものだった、ということですね。
 
こうして詳しく見ていくと、日本語アニメ版の英語表現が、予想以上に独自の表現をされていて驚きました。誰に向けた翻訳なんだろうか、これは……?(汗)日本の視聴者のほとんどは、こんな細かい言い回しの違いなんてチェックしませんよね(私が今回聞き直したのも、日・英原作の違いが面白かった一部のセリフだけですしね……)
 
「ある程度の語彙や文法がわかっている」という前提にはなりますが、言語を学ぶのに大好きな漫画やアニメの翻訳版を使うというのは、めちゃくちゃ有効ですね。私もこれまで買った英語版DVDを時々見ていますが、元々どんなセリフか全部わかってるんで「なるほど、こういう言い回しになるのか」と、すごくストンと入ってきます。「コナン」の英語版において「make sense(わかる、理解できる)」の頻出ぶりはすごいですよ(笑)。
とはいっても、そもそも基礎ができてない中国語については、いくら聞いてもさっぱりですが(笑)。(欧米と違って中国語とかだと、キャラの名前も全部現地読みされて音が変わっちゃうので、本気でワケわかんないです。笑)
 
でも、やっぱり「ハロウィンの花嫁」は各国それぞれのバージョンを揃えてみたいな……。

コメント

  1. アカイシユウイチ より:

    ひょんなことからこの投稿にたどり着き楽しく拝見させて頂きました。比較が非常に興味深かったです。
    特に気になったのはわたしも大好きな時計台のシーン。
    "the girl you love"の言い回しで私の気付きをお伝えします。
    ストレートに言うのであれば間違いなく"the girl I love¥です。しかし、そこは新一照れ隠しだと考えられます。素直に"I love"と言えなかった。照れながら詩的に敢えて遠回しに蘭を指している。
    丁寧に言うと"It’s not easy to read the mind of the girl you love… you know what I mean."となるかと想像します。
    いかにも新一らしいという訳でニンマリさせて頂きました。
    ありがとうございます。

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